(3)検証チャンネル

第三話、メテオちゃん、検証されかけてしまうの巻。

 モンスター郡の発生から一ヶ月。その間も星降メテオとしてフェイク動画を二本ほど投稿していたのだが、どちらもそれなりに賛否両論でダストも満足していた。
 ところがある日、日課のエゴサをしていて奇妙なものを見つけた。ダンジョン内での事象やバズったフェイク動画を検証することで有名なチャンネルの新規投稿動画が引っかかっていたのだ。そしてそのタイトルを見て、ダストは声をあげる。
「んん? 星降メテオを検証?」
 不穏なタイトルだ。気になって動画を再生ボタンを押してみた。初めてこのチャンネルの動画を見たが、どうやら複数人で議論しながら実験をし、検証するスタイルのようだ。
『こんにちはー、こんばんはー、あるいはおはようございます! ケンショーチャンネル本日のテーマは、ここ数ヶ月話題が出ることがある星降メテオ、彼女の動画を検証してみようと思います!』
『星降メテオってあのフェイク動画の?』
『そうそう。フェイクって堂々と看板掲げてるあの星降メテオさん!』
『あの人の動画見たことあるけど、もはや検証するまでもなくフェイクですねって感じだったけど……』
『私あの人の動画好きなんだよねえ。だってあんなハチャメチャなこと、絶対できないもん』
『もし、あのハチャメチャなことが実際できるとしたら?』
 その言葉に、動画に出ている他のメンバー達が黙り、お互いの顔を見て、それから揃って首を横に振った。
『いや、絶対無理だって』
『お前動画見たことないのか? モンスター一本釣りだとか、空中で捕まえてつるし上げとか、本当に無理な話ばっかだぞあそこ』
『君達さ、ここ数ヶ月での星降メテオさんトピックス知ってる?』
『……あれでしょ、どこぞの配信にメテオちゃんそのものが映り込んだ上に、モンスター吹っ飛ばしたってやつ』
 先程動画を好きだと言ってくれていた女性は、どうやらしっかり例の話題を追いかけていたらしい。というか、一視聴者なのかもしれない。
『あと、もうチャンネルも投稿者のアカウントもバンされちゃってるから消えたけど、モンスター郡発生の時にも映り込みあったよね』
『あれについて触れるのはやめよう。ちょっと怪談みたいになってるし』
『ともあれ、ここ数ヶ月何かと話題になってるわけですよ彼女。でまあ、最初の映り込みのモンスター吹っ飛ばした件で、アレが合成でないことは明らかなんで、じゃあ実際アレができるのかって話ですよ』
『まあ、合成ではないなら、できるんだろうが。どうやってやってるんだあれ?』
『土属性魔法でできるんじゃって話してるやついたけど、土属性魔法にしちゃ丈夫過ぎるんだよな』
『そうそう。杭は出せるとしても、モンスター貫くほどの硬度持ったやつは作れないよ。だからメテオちゃんのアレはフェイクでしょってわけ』
『金属を具現化させればいけるのでは?』
『そもそも魔法で金属を出すっていうのがまだできてないわけで』
『土属性はあくまで土の延長のものしか出せないから。金属はまた別の属性じゃないかって話じゃなかったかな』
『土属性と火属性の複合でできないかって話があったけど、あれも結局土器の延長みたいなのしかできなかった気が』
『結局金属だけ純粋に抽出するのが難しいって話か』
『ほらー、やっぱりメテオちゃんのはフェイクじゃん』
 そんな感じで話が盛り上がっているのを眺めつつ、合間にこの動画についてSNS上での反応を見てみる。
”ケンショーチャンネルチャレンジが過ぎんか?”
”結論としては高魔力があればメテオちゃんのアレやコレやができる可能性がって話になってたけどマ??”
”高魔力所有探索者が国内におるんか?”
”メテオちゃんのスタッフさんが高魔力、ってこと?”
”高魔力所有探索者が一動画投稿者のスタッフやってるのおかしくないか?”
”一口に高魔力所有探索者って言っても色々いるから、動画投稿者のスタッフやってるやつがいたって不思議ではないんだけど、それにしても星降メテオの動画のやつ全部実際にやってるってのは無理がある”
 コメントを追い、動画も再生し終わったところで、ダストはさてと考える。幸い、動画自体は推察で終わったのでしばらく放っておいても問題はなさそうだが。
「あー、やっぱり最初のがなあ。ミスったよなあ」
 今更ながら、数ヶ月前の映り込みが最大の失敗だったと思うが、しかしそればかりはどうしようもない話だ。運がなかった、これに尽きる。
 その上でこの後どうするかだが。
「……ある程度のところで、バラすしかないかなあ。うーん、せめて論文が通った後がいいんだが」
 ぼやきつつも、とりあえず今回の動画についてはメテオからは触れないでいようと決め、ダストはエゴサをやめ、動画編集の作業に戻ることにした。

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