ヴェリナ・リケッツがそこに至るまで

インセイン「ヴィラ・アネッロ」の感想ふせったーまとめと、セッション中のモノローグと、セッションの前日譚。

1.一日目終了時のモノローグ

 幾度かグレイの家を訪ね、その度に見ていた絵。いつの間に描いたのだろうかといつも思っていた。それについてグレイに訊ねたことはあっただろうか。いや、聞いたことはきっとあるだろう。そうだと思いたい。もしかしたら、「さあ、いつだろうね」とでも言われたのかもしれない。いずれにせよ、いつの間にかあの絵は日常の中にあった。
 しかし、グレイが死に、その過程で邸内を見ていて、気付いてしまった。
 あの絵が、二百年前に描かれたものだということを。
 先祖の誰かだろうかと思うが、それにしては似すぎている気がする。いや、似すぎている先祖がいることはあるとは思うのだが、しかしグレイと自分、それぞれが同じ時代にそっくりな人物がいるというのは、偶然の一致が過ぎる、不気味ささえ覚える。
 グレイの死に様もなんだかおかしかった。血を吐いているだけなら、まだわかる。もしかしたら自分が用意した毒薬をグレイが誤って飲んでしまったのかもしれないと、そう思える。だが、体がねじ曲がっているのは一体?
 それに、血のついた包丁。指紋はグレイのものと、あの女のものしかない。この屋敷に暮らしているのだから、二人の指紋しかついていないことは納得できる。だが、ではこの包丁についた血は何の血なのだろうか。そして誰が何をして、この血は付着したのだろうか。
 そしてあのジョン・スミス。彼の話す「ヴィラ・アネッロの悪霊」。最近の事件の犯人がグレイだなんて、とんだ言いがかりだと思う。しかし、あの肖像画のことを思うと、くだらないと言いきることもできない。
 わからないことばかりだと、ヴェリナは密かにため息をつく。

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