オルムという夢魔の話

インセイン「ワンナイト・マイスイート!」セッションで使用したキャラの設定とセッション前日譚と後日談。

セッション始まる直前のオルム君
 俺の名はオルム! 今年で百二十二歳の夢魔! なんだけど、ここ十年ほどは人間的な生活をしてます。というのも、まあちょっと色々あって、俺、夢魔の才能ないんちゃうかなって気付きまして。そうなったら、夢魔として生活するより、人間の生活時々夢魔くらいがええんやないかなって!
 本当はさっぱり夢魔やめられればよかったんやけど、まあ生きてくには生命力もらわんといけんからね。ひとまず少量でも生きていけるよう、それこそ瞬間チャージでもらえる量でも大丈夫なよう、今は訓練中ってところや。
 そういうわけで、約十年前に人間にまぎれて生活するようになりまして、そん時に、ナヨナヨしてたらなめられるよなと、体を鍛え、髪型を変え、あと目立つ赤い目はカラコンで隠し、口調も標準語に近付け、この世で最もなめられんやろう身分、ヤンキーになったわけよ。いや面白かったわあ。元気な人間が多かったから、食いもんにも困らんかったし。
 でまあ、四年くらいヤンキーしてたかな。ヤンキー生活も楽しかったんやけど、そこで運命に出会ってしもうてな。工事現場の建機ってわかる? クレーンとかああいうやつ。あれがかっこよくてなあ。まあ半分くらい、その頃つるんでたヤンキー友達の影響もあるんやけど、まあとにかく、そういうものの魅力を理解してしまいまして。その後、別の子に連れてかれたこう工場見学で、めっちゃ働くロボット見てな。「ああいうのが建機にもあったらかっこいい!」ってビビビビビって来てもうて。
 それで、こういうロボット作りたい思うて、色々調べて。ひとまず大学ってとこに入って、勉強したら色々できそうと思ってね、そこからは受験勉強よ。
 ま、俺それまで足し算引き算くらいしかわからんかったから、五浪くらいしたけどね。
 いや夢魔パワーで紛れ込んでもよかったんやけど、なんかそれは、ちゃうやん? 真面目にロボット作ってる人に失礼やん? そう思ったから、ちゃんと受験したんよ。ただ、戸籍とかなかったから、その辺は夢魔ネットワークパワーに甘えさせてもらったわ。それくらいはええやろ。それで用意してもらったのが、松葉暮人って名前なわけ。
 そうして、大学でワクワクとロボットの作り方学んでたら、まー、その、大変なものに出会いまして。
 めっちゃうまそうな子が同じサークルにおったんよ。
 いや困った。これは困った。めちゃくちゃ困った。
 そんなうまそうな子なんてな、滅多におらんのよ。割と食ってみたらうまかったわみたいな子はそりゃいっぱいおるんよ。でもにおいからしてうまそうな子なんて、結構貴重で。少なくとも俺にとってはそう。
 そんな子がな、ヤンキーならまだ良かったんよ。そんなん遠慮なく夢の中に入ってはいいただきますさせてもらいます。なんならその後は姿消してもええしね。
 でもなあ、そうじゃなくて、同じ大学で同じサークルの子なんよなあ。絶対今後の付き合いは続けざるを得ない仲なんよね。そうなると、流石になあ、まずいでしょ。俺のことだから、仲良くなったら気が緩んで「ちょっと食べさせて!」とか言っちゃうじゃん。それで後先考えずにやっちゃって、その後気まずくなったりしたら面倒やし、あと折角入った大学を食欲に負けたからって理由で辞めるんはちょっと。
 というわけで、においに我慢できなくなって食わせてって言っちゃうのを防ぐため、心苦しいけど冷たくしてきたんですよ。過去一嫌いな奴の真似をして、嫌味を言ったり、発言を鼻で笑ったり、まあ嫌なやつやりましたとも。めっちゃ心苦しかった。でもそうしないと仲良くなっちゃいそうなんよ。あの子ロマンの方向性としては相容れんけど、基本的にはええ子やから!
 それで遠ざけようとしてたんですけどね、夢魔の本能って恐ろしいもんで。気がついたらあのにおいに惹かれてふらふら〜っと近付いてしまうことがあって。気付く度にダッシュで逃げたりしたけど、まあ向こうが気付いて話しかけてきたりすることもあってね。いやあの時は本当に申し訳なかった。こっちから近付いたのにあんな態度で。ここで謝ってもしゃあないんやけど。
 まあそんな紆余曲折ありましたがね、いや、今日という今日はね、もう無理でして。我慢の限界ってのが来てしもうて。寧ろここまでよお我慢したと思わん? えらない俺?? くらいの気持ちになりまして。
 そういうわけで、同じサークルの池田潤也くん。ごめんな、せめて精一杯気持ちよおさせたるから、今夜は俺に腹いっぱい食べさせて!

彼のプロフィール
オルム(人間ネーム:松葉暮人)
百二十二歳の夢魔。
夢魔らしく人の夢の中に入ってセックスとかして生命力を奪って生きていたが、セックスしてもあんまり気持ちよくない。
仲間とかは「気持ちいいことしてれば生きていけるなんてサイコー!」とか言ってたけど、自分は全然気持ちよくなったことがない。なんなら相手の人間がやや不完全燃焼気味で終わった夜もある。その時は流石に申し訳なかった。
そして百十歳を迎えた年に、「もしかして、俺、夢魔としての才能ないんちゃうか!?」と思ったことから、それ以来人間として生きようと決意。体を鍛え、髪型を変え、目にカラコンを入れ、無事ヤンキーとして人間デビューを果たす。
その後、同じグループに所属しているヤンキー達の影響で工事現場の機械とかに興味を示すようになり、工場見学で見たロボットに感銘を受け、「俺もロボット作りて〜!」となり、猛勉強して大学に入学。入学書類とか諸々は夢魔ネットワークのパワーでなんとかした。
なお人間として生きることにしたが、生命力は必要なので、ヤンキー時代はその時敵対関係にあったヤンキーの夢に入って生命力をもらっていた。次会った時に向こうが気まずそうにしてたのは面白かった。
人間の時はちゃんと標準語を喋るが、夢魔として夢に入った時は関西弁みたいな言葉が混ざった感じで喋る。
本来はのんびりしていて大雑把、行きあたりばったりな性格だが、人間として生きることにした時に「しっかりしなきゃ」と思ってしっかりしている風を装っている。多分装えてるはず。

    お名前※通りすがりのままでも送れます

    感想

    簡易感想チェック

    ※↓のボタンを押すと、作品名・サイト名・URLがコピーされます。ツイッター以外で作品を紹介する際にご活用ください。