石堂燐は進むしかない

インセイン「蛍子のために」の感想ふせったーのまとめと、セッションで使用したキャラのセッション中のモノローグと、出そうと思ったけど長すぎたので端折った回想全文と、かなりちょっとした後日談。

2.端折った回想全文

【回想に入れようと思っていたこと】
・草間さんのこと好きだったけど、今思えば勘違いだったという反省
・両親が明らかに落ち込んだのを見て、姉みたいになろうと決意した話
・実際その通りになるよう頑張ったけど、死にかけた時にそれが折れてしまった話
・好きに生きようと思ってた話
・でももしいま姉が望むなら、そんな人として生きていけるか怪しい体より自分の体を使ったほうがいいと叫ぶ話

【端折った回想全文】
 姉のことが大好きだった。優しくて、私から見ればなんでもできて、明るくて、友達も多くて。
 何もかも持っている姉を素晴らしいと思う一方で、自分はどうしてこんなに違うのだろうと思っていた。姉の友人の輪に入れてもらっている間もずっとそう思っていて、なんだか引け目を感じていた。そうして少し距離をとっていたのだが、それでも優しくしてくれた姉の友人達には感謝しかない。あの時間は今でも宝物だと思っている。
 ただ、草間先輩を好きになってしまったのは間違いだった。優しくされて勘違いした、初めて親しくなった親戚以外の異性、姉がよく彼の良いところを話していた、そういったことの積み重ねで、好きになってしまった。大人になった今ではわかる。だが当時は幼く、ゆえに視界も狭かった。
 姉さえいなければと思ってしまった瞬間があるだろう。それは否定できない。もしかしたら、くぐり桜に願掛けをする際にそう思ってしまったこともあるかもしれない。でも、そんなのは本気ではなかった。本気で姉に消えてほしいと思っていなかったのだ。
 姉が死んでからは、そんなことを思ってしまったという罪悪感を抱えながら生きていた。それで親のいう通りに生き、これで両親が喜ぶなら安堵するならと、その道を歩んでいた。
 それが狂ったのは一昨年のことだ。些細な事故がきっかけで、ただでさえ後悔して生きているのに、その後悔を言い訳にした後悔を抱きながら死にたくないと強く思った。だから親の反対さえ押し切って自分の人生を生きようと思っていたのに、ここにきて。
 ここにきて、お姉ちゃんが現れるなんて。
「私はずっと、この罪悪感を抱えて生きるんだって思ってた。でも、それが今になって、晴らせるんじゃないかって、そう思って私、お姉ちゃんのこと探してた。それで先輩達にも何か知らないって聞いたりしたけど、みんな何も教えてくれないし、自分一人じゃ何も見つけられないし」
 姉のような姿をしたそれを見る。
「お姉ちゃんが何を望んでるかなんてわかんない。でも、もしお姉ちゃんが生き返ることが望みだって言うなら、私はどんな協力だってする。そのせいで私が死ぬのでもいい。だって絶対お父さんもお母さんも先輩達も、私よりお姉ちゃんが生きている方が喜ぶから。私はそうとしか思えない人生しか歩めなかった」
 姉のような姿のそれから視線を外し、そこに佇む女、如月を睨む。
「ねえ先生、どうして、私や両親に協力をあおがなかったんですか。こんな話信じないって思ったんですか? 話してくれても良かったじゃないですか。いえ、信用ならないって思ったんですかね。仕方ないですね。……だって私だって、今先生を信用できないもの。お姉ちゃんがこんな崩れた体で蘇りたいって? ふざけないで、お姉ちゃんを化け物にしようとしないで」

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