白猪くんは案外運がいい

インセイン「名探偵は二度死ぬ」の感想ふせったーまとめと、小話たち。今回の小話は自陣ドラマパロのオタクたち(概念)が出した二次創作みたいな色が強い。

拝啓 違えたあなたへ
拝啓 霧島恵美様

ご無沙汰をしています。有瀬昇の弟、暁斗です。
先日は不本意な形での再会となり、誠に残念でした。
あの後お話できる機会もなく、また直接会ったとしても恐らく俺が感情的になり、まともに話せない可能性が高いので、こうして文章の形にさせていただくことになりました。
この手紙は担当である沼倉さんにお願いした形になるので、もしかしたら霧島さんの手元には届いていないかもしれませんが、気持ちの整理のためでもあるので、きっと霧島さんに届いているであろうと思って、以下書かせていただきます。

まず、兄のためにあなたが長らく苦しんだことを、兄に代わり謝罪させてください。
というのも、兄が名探偵であったのは、実は呪いのようなもののせいであり、そのせいで兄の周囲で殺人をはじめとした事件が数多く起こっていたのです。この話はとても信じられないとは思いますが、ひとまず、俺が知ったことを伝えます。

(中略)

というわけで、原因であった像は叩き壊したので、恐らく当分は兄のような、存在が事件の呼び水となるようなものは生まれないはずです。そういう意味でも、かの浅見形人さんもこれまでのように事件まみれの人生にはならないと思います。ならないようにと祈っています。
そういったわけで、霧島さんが最初の罪を犯した遠因は兄にあったと思われます。兄がなぜあなたの罪を暴かずに自らの命を絶ったのかは俺にはわかりません。あなたを裁きたくなかったのか、名探偵でいることが嫌になったのか、全ての事件の遠因となったことを知り絶望したのか、もっと他の理由か。霧島さんなら他に思いつくでしょうか? 誰よりも兄のそばにいたあなたなら。

兄の良き理解者で、兄の傍らにあった、兄の相棒のような存在だったあなたに、俺は憧れていました。
そんなあなたが罪をおかし、更にあのようなことをしていたとは思いませんでした。
同じ職場の羽生田さんから霧島さんの名前を聞いた時、本当に驚きました。最後に会ったのは兄の葬儀の時だったでしょうか。あの時からお互いに色々と変わり、もし再会があの場でなければ、これまでのことや昔話などできたのでしょうが、今ではもう叶わない話です。

あなたに向けて言葉を伝えるのはこの手紙が最初で最後となるでしょう。
最後にあなたが名探偵に会えて、罪を暴いてもらえたこと、不謹慎ではありますが、お祝いします。

有瀬暁斗

えみ姉、さようなら。

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